課題 二つのレンガに勝る事。
私たちにはノートブックコンピューター用スタンドをデザインするにあたって目指した事がありました。それは二つのレンガに勝るという事。使いやすく、安定感があり、冷却効果に優れている事。スマートであり、私たちが描いた夢が表現されている事。そしてそれらが高いレベルで実現されていない限り、私たちの製品としてリリースする意味がないと考えていました。なぜなら、ノートブックコンピューターを垂直に立てるだけならレンガを二つ探してきて、その間に挟めばいいのですから。
Floaterのコンピューターを挟む左右の壁は低く、限界まで間隔が狭く設定されています。これは出し入れのしやすさと、コンピューターがぐらつかないという事を両立させるため。また、本体を構成するすべてのパーツはアルミニウムブロックから削り出されていますが、これは重量による安定感と、剛性を確保するために役立っています。そして机にそのまま置いた時と比べ平均3度から6度の冷却効果(CPUの温度)、実際に設置された時ケーブル類を美しくまとめるケーブルオーガナイザー機能も備えています。しかし、私たちはこれらの機能だけでは、はっきりと二つのレンガより優れているとは思えませんでした。二つのレンガではなくこの製品を使う意味があると感じさせたもの。そして、作る意味があると私たちをその気にさせたもの。それはやはりデザインでした。
私たちののデザインは夢や空想から始まりますが、よくその初期段階で対象となるものが宙に浮いている場面を想像します。何もないところにものが浮いていたらどんなに美しいだろうと想像します。しかし、私たちは重力を無視して何かを作る事はできません。そこで私たちは考えます。さっき想像した場面に少しでも近づくためにはどうすればいいのだろうかと。そしてこれ以上、想像した場面に近づく事はできないと感じる事ができた時にデザイン作業は終了します。(ここまでたどり着けるのは本当にごくまれなのですが。)
Floaterは幸運にもゴールまでたどり着く事のできた製品の一つです。その名の通り浮遊感がデザインの重要なテーマの一つでした。美しいディスプレイの横にノートブックコンピューターがあるべき姿。その場面を想像する事からデザインは始まりました。数多くの試作を経て、現在のデザインのアイディアが浮かんだ時、私たちはそこに最初に想像した場面と非常に近いものを感じました。それは「立って」いるというよりは「浮いて」いて、私たちが夢見た場面と同じ雰囲気を持っていたからです。私たちが最初に夢見た場面。それはどんなに言葉をつくしても言語では表現する事はできません。しかし、だからこそ私たちはデザインし、製品を作っているのだと思います。
もしもあなたがFloaterをお使いいただく事になったら、明かりを落とした部屋で、また、朝日の差し込む部屋でFloaterとそこに設置されたコンピューターを眺めてみてください。そしてその時、何かを感じていただけるとしたら、もしかしたらそれが私たちが最初に夢みた場面なのかもしれません。
|