バルミューダの歴史 5

物より体験「Hello Kitchen!」

2014年。寺尾玄を始めバルミューダのデザイン、エンジニアチームがこれまで以上に考えていたことがありました。それは「日常の道具は人々の体験のためにある」ということです。

「最も大切なのは、その物を通して得られる気持よさや心地よさ。物より体験。その物を通して得られる『よい体験』をもっと感じていただく方法はないものだろうか」

生活のなかで嬉しさを感じ、時に感動に包まれる体験のために、バルミューダのチームが着目したのは「食べる」という行為でした。五感のすべてが活かされる「食」に深く関わるキッチン家電の開発です。

その最初の製品となったのが、「BALMUDA The Toaster」。ヨーロッパの街角にたたずむ伝統的なパン屋の写真やパンの写真を前に、トースターの開発が始まりました。

食に関する科学書から学んだ知識を活かして、パンを焼き上げるしくみも徹底的に研究。絶妙なパンの焼き上がりを実現するヒーター制御を始め、テクノロジーを駆使したバルミューダ独自の「スチームテクノロジー」を開発しました。さらにはタイマー音に至るまで、独自のプログラムを試みています。

こうして「Hello Kitchen!」のキーワードとともに発表した、バルミューダのキッチン家電。試行錯誤のなかで探究してきた「多くの人に必要だと思ってもらうもの」「嬉しさをもたらす製品」は、「食べる」行為と結びついてかたちになったのです。

嬉しさを生むキッチン家電を

「おいしさは数値で測ることはでないものの、人々はそれに喜びを感じ、時に感動さえします」。おいしさと日々の道具に関する、寺尾玄の持論があります。

「もし、毎朝のパンがとてもおいしく、朝食がとても楽しかったら。その日は少しだけよい日になるに違いありません。そんなひとつひとつの体験をよりよいものにしていくのが、現代の道具である、家電の役割なのだと考えています」

「BALMUDA The Toaster」のデザインは、古来パンが焼かれてきたかまどのように「おいしいパンが出てくる道具」に徹しています。これもバルミューダの他製品と同様、数千の案を検討した結果のデザインです。またバルミューダでは、「よりよい体験」のために、このトースターを使った「おいしいパンのレシピ」も考えています。

今から遡ること20数年前。まだ17歳だった寺尾玄が意を決して向かった地中海沿岸、放浪の旅。疲れきって最初にたどり着いたスペイン南部の街、ロンダの小さなパン屋で、香しい匂いとともに口にし、涙が流れるほど感動した寺尾自身の体験にもつながる製品の誕生となりました。

日々用いられる道具であるだけでなく、嬉しさ、さらには感動という体験をもたらすことのできるキッチン家電の開発を、バルミューダではさらに続けています。

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