ホテルニューオータニ 副総料理長
太田高広シェフ
目の前で
鉄板から立ち上る
高揚感こそが
ごちそうです
東京都・紀尾井町。都心のど真ん中、広大な日本庭園の木々の奥に「石心亭」は佇んでいます。
扉を開けると円形劇場のようなカウンター席と回廊状にしつらえられた鉄板がお出迎え。
一組のお客様ごとに専任のシェフがつき、美しいヘラさばきで次々と料理を仕上げていく。
そんな石心亭も含め、17の直営レストランとバンケットを率いる
ホテルニューオータニ 副総料理長の太田高広シェフに
「BALMUDA The Plate Pro」を使った本格コース作りの極意や、ライブ調理の醍醐味を伺いました。
目の前で調理する
その醍醐味と充足感
じゅうじゅうと耳に心地よい音に鼻腔をくすぐる香ばしい匂い。私どもがお客様の目の前で焼き上げる鉄板焼きは、そのライブ感自体が何よりのごちそうだと考えています。
一方で、鉄板焼きのコース料理は心くばりが求められます。通常、厨房で行うはずの調理をお客様の前で行い、前菜からデザートまで一連の料理を滞りなく提供する。加えて会話などのコミュニケーションでも場を温めたりもしなければなりません。雰囲気もごちそうのうちですから。
「石心亭」はライブキッチンを囲むように鉄板を配して、誰もが最前列で観劇しているかのようなライブ感を楽しんでいただけるつくりになっています。BALMUDA The Plate Proのクラッドプレートの質感にも、いわゆる家庭用ホットプレートのイメージとは一線を画す、非日常感があります。もてなす相手の眼の前でライブ調理が行われる。これは何よりのごちそうだと思います。
上質な質感と安定の機能が
家庭のプレートを
プロの鉄板に近づける
プレートの質感に加えて、機能面も感心させられることばかりです。鉄板焼きにとって絶対的に重要なのは温度です。実際このプレートを使ってみて、設定通りの温度が出ていることに感心しました。プロ向けの道具でも温度制御は難しくて、鉄板上の温度が体感とズレたり、同じ鉄板上でも場所によって温度の強弱などのクセが出てしまったりします。しかしこれほど安定していれば、レシピの再現性が非常に高くなる。プロとの差を縮めるツールと言っても言い過ぎではないと思います。
このプレートならどんな
鉄板料理のコースも網羅できる
専門店ではコース料理という流れのなかで、一品一品、その都度温度も調整します。このプレートは料理に合わせて最適な温度で調理ができますし、160、180、200、220という設定もいいですね。20℃ずつ異なるこの温度帯って、実は鉄板焼きのコース料理に必要なすべての温度を網羅しているんです。
そこで、本日はBALMUDA The Plate Proでコース仕立ての料理を試してみました。温前菜の紙包み焼きは180℃で加熱して、食べ手の進みがゆっくりなら160℃に落としてじっくり蒸らしてもいい。じゃがいものガレットは200℃で焼き込んで香ばしい焼き色をつけながら、内部までしっかり火を通す。1.5cm厚さのステーキは短時間で焼き色をきっちり入れつつ、内部はミディアムに仕上げたいのでMAXの220℃を使う。デザートのパンケーキは焦げやすい砂糖が入っているので180℃で焼けばきれいな仕上がりにもなります。
王道&オリジナルの
コース料理を自宅で再現
コースの組み立てとしては冷前菜→温前菜→魚料理→肉料理→デザートという鉄板調理の王道の流れですが、大切なのは調理に適した温度を知ること、そして仕込みを調理開始前に済ませておくこと。信頼できるプレートがあるのですから、調理者が正しく調理できれば自ら食べ手としてもライブキッチンを満喫することだってできるはずです。
冷前菜:マグロのタルタル
プレートを温めている間に、事前に準備できる品から提供する。最初はポーチドエッグを添えたマグロのタルタルなどの冷たい前菜からスタートします。
温前菜:魚介の香味バター包み焼き
包み紙(クッキングシート)の包み方はいろいろ工夫してみて。この日は折り鶴の形にしつらえた。包み焼きなら鉄板がきれいなまま調理が進められるので次の準備も簡単。具は海老やホタテを中心にバターを香らせる。好みのスパイスやハーブを加えるのもおすすめ。
魚料理:白身魚とじゃがいものガレット
じゃがいもはじっくり焼くと鉄板もきれいなままに、香ばしくカリッとした焼き目がつく食材。付け合わせの焼き野菜は先に下茹でしておくと、より進行がスムーズに。
肉料理:牛サーロインのカットステーキ トマすき風
最高温度の220℃を使って片面にきっちり焼き目をつけて、プレート上で切り分ける。味つけは割り下に卵黄を入れたたれ、付け合わせに焼きトマトを添えて“トマすき”風に。
デザート:パンケーキ
コースの締めとなる甘いものまでプレート上でワンストップ。プレート全面が均一に180℃に温まるので、小ぶりなパンケーキなら6枚同時にきれいに焼くことができる。
作って楽しく、食べてうれしい
専門店と家の
いいとこ取りが卓上に
鉄板焼きでコース料理を振る舞うのって、何にも代えがたい楽しみなんです。ダイレクトに食べ手の喜びが伝わってきますから。最近、ミシュランで星を持っているような有名シェフが小さなカウンターだけの店を開くケースが増えました。調理者にとってお客様の喜ぶ顔が目の前で見られるのは何よりの喜び。BALMUDA The Plate Proはその喜びを最大化してくれる素晴らしい製品だと思います。
BALMUDA The Plate Proは何気ない日常の食卓が一気に華やかになる舞台です。樹脂加工のプレートではこの雰囲気は出せませんし、おいしい焼き目がつきやすくなるなどの利点もあります。おうちのホットプレートでは想像できなかった、本格的な鉄板焼き料理をもてなす側もお客さん側も、ぜひ体験してみてください。
文:松浦達也 写真:吉澤健太